ネットでの誹謗中傷は犯罪行為です。
見知らぬ人達が匿名で書き込みが出来るネットの掲示板やプログですが、思わぬトラブルが多発しているのをご存知でしょうか?
顔を見知っている仲でさえも意見の食い違いや、ほんのちょっとした事で口喧嘩や言い争いになりかねないのに、
見知らぬ人が相手ですし、匿名なのを良い事に、好きな事を書き連ねる事は危険が伴うのです。
1.匿名故に泥沼の争いになってしまう
匿名と言う安心感とその行為を誰も見ていないと言う開放感から、書き込みが過激になってしまう場合があります。

やられた方も同様に仕返しが過激になり、やり取りが泥沼化する例が多いのです。
時には匿名にも関わらず何らかの手を使って仕事先やプライベートの情報を入手され、書き込まれてしまうケースも多々発生しています。
タチが悪い者になると、「会社の物を盗んだ」とか、「誰とでもセックスするビッチ女」などの身に覚えの無い事を書いて執拗に攻撃をして来ます。
これも顔が見えないので卑劣の一言です。
2.ネット上で誹謗中傷されてしまった時の対策は?
自分で始めに出来る事は、サイトなどの運営者に連絡し報告する事です。
しかし、掲示板、ブログで誹謗中傷被害などの書き込みなどがあった場合、サイトや掲示板の閉鎖を求めても当事者同士で解決する事を求められ運営者は応じてくれない場合が多いです。
運営側は膨大な数の書き込みに対していちいち対処しては居られないとのスタンスで、実際にも対処出来る人手もない場合がほとんどですです。
2.1 民事訴訟する
匿名の相手を特定するのが難しいネットの世界での誹謗中傷は、名誉毀損や侮辱罪などの刑事告訴する事が非常に困難です。
仮に被害届を提出しても、警察であっても個人の特定をしきれる物ではないのです。
となれば刑事でなく民事での対処が効果的になります。
誹謗中傷を書き込んでいるパソコンのIPアドレスを調べ、このアドレスが経由したプロバイダーや接続プロバイダーを割り出します。
この際、個人運営の掲示板だと接続の記録を保存していない場合も存在し、この場合は残念ながら書き込みした人間を特定に至る事は難しいかもしれないです。
ただ、掲示板の多くはレンタルサーバーを借りて、その場所を借りて運営している事が多いです。
レンタルサーバーの運営再度に書き込み記録の開示と書き込み自体の削除を求めるという手段があります。

しかし、サーバーの運営者サイドには書き込み内容は開示する義務はございません。
個人的に頼んでも応じて貰える可能性は限りなく低いのです。
最後の手段として、弁護士などの専門家に相談する事をお勧めします。
誰しも、裁判沙汰になる事は嫌がりますので、それを回避する為に弁護士からの開示要求は受け入れられ易いのです。
情報開示がなされれば相手の特定が可能となり、書き込みの削除もなしうるのです。
相手の特定さえ出来てしまえば、民事事件として損害賠償請求が可能となります。
2.2 プロ野球選手、井納選手の奥さんの事例
2017年7月、井納翔一投手(横浜DeNAベイスターズ)の話題がネットの匿名掲示板に乗り、奥さんの写真が貼り付けられていました。
この写真に匿名で
「そりゃこのブスが嫁ならキャバクラ行くわ」
と書き込み、井納選手の奥さんが発見し、ネット掲示板に情報開示を求めたのです。
11月には投稿者に奥さんからの通知文が送られて来て、12月半ばには投稿者(20代女性会社員)に対して191万9686円の慰謝料と訴訟費用の被告負担の訴状が届いたのです。
週刊誌の紙面上でこの投稿者は
「軽い気持ちでした書き込みで、まさかこんなことになるなんて—-どうしたらいいのか、途方に暮れています」
出典:FRIDAY 2018年2月9日号
と語っています。
井納夫人は弁護士を雇い掲示板に情報開示を請求し投稿者のIPアドレスを入手し、ネット提供会社(あるいは携帯会社)より氏名、住所、電話番号などの個人情報を入手しました。
権利侵害が明白で正当な目的が在った為、スムーズな情報開示が行われ、夫人の訴状が送られる運びとなったのです。
このようなルートで「殺害予告」や「爆破予告」、「テロ予告」など未然に防ぐ事が出来ますが、
そこまで重大な犯罪で無くても、弁護士を通して請求がなされれば名誉毀損なども訴訟に持ち込む事は可能です。
相手へのダメージを与える事は可能ですが、勝訴したにしても金銭的にはたいした額は望めませんし、弁護士費用も掛かります。
ただし、自分の名誉と尊厳は守れる事になります。
3.刑事告訴について
インターネット上での掲示板やブログなどの名誉毀損罪の要件(刑法230条)に当てはまる事案は多数発生していますので、当該被害者はたとえ相手が特定出来ていなくても告訴する事は可能です。
現実には他の凶悪事件との格差の為、警察が本気で捜査してくれる事は期待出来ません。
しかし、書き込み内容に「殺す」「爆破する」などの文字が在り、殺人予告的な状態となれば話は別で、警察は動いてくれます。
その結果、犯人が特定すればそれなりの罪を背負う事になるのです。
4.ネット上の誹謗中傷は個人で対処出来ない場合がほとんどです
もし、誹謗中傷を受けた場合、「逃げるが勝ち」と言う様に、書き込みのあったサイトから退去し、利用を止めるという手段も有ります。
それでも追って来る様なら、余程の事があったと考えざる負えません。
昨今のネット社会では、顔が見えない世界で、ごく一般の人でも、「心の闇」が増長しやすい環境といえます。
そんな中、トラブルが多発している昨今では、ネットの利用には細心の注意が必要だと言えます。
個人でのネットトラブル対処は限界があり、よほどの多方面に渡る専門知識が無い限り、対処するのは不可能に近いと言えます。
まずは、無料相談などを利用して専門家に相談する事をお勧めします。